コラム

遺言書のお話し

 遺言書とは?

 遺言書とは、自分が亡くなったときに、自分の財産等について、法的な効力を発生させるために作成するものです。遺言書には、「遺言」となる条件が民法で定められていて、その条件に従って作成しなければならず、条件から外れていると効力が発生しません。
 近年、ご自分の人生の最後に向けて準備をしておく「終活」を考える方が増えている傾向があり、その手段の一つとなる「遺言」についての相談が富山県司法書士会でも増えてきています。「遺言」について、まずは正しくご理解していただくことをおすすめします!

遺言書を作成するときに気を付けること

 遺言書は、必ず1人1通ずつ書面でしなければならず、例えば夫婦が1通の書面ですることはできません。また、遺言書はいつでも自由に書き直すことができ、書き直す場合に同じ種類(種類の内容は「4 遺言書の種類」を参照)にする必要もありません。例えば、初めて書いた遺言書の種類が公正証書遺言であったとして、書き直したいときに自筆証書遺言で書き直してもいいということです。

エンディングノートとの違い

 エンディングノートとは、自分が亡くなった後や何かあったときに備えて、家族など残された人たちがさまざまな判断や手続を進める際に必要な情報を残すためのノートです。エンディングノートには、法的な効力はなく、あくまで残された人たちへのメッセージのようなものです。よって、条件や形式といった決まりはなく、自由に書くことができます。一方、遺言書は、その内容に法的な効力を持たせるものになりますので、法律による決まりがあります。

 遺言書を作成しておくと良いケース

 遺言書を作成しておくと良いケースを6つご紹介します。また、財産に不動産がある場合、令和6年4月1日から相続登記が義務化されましたので、ケース2、3、4、5に該当すると、相続登記をしたくてもできない可能性が出てきます。遺言書を作成しておくことは相続登記の義務化に備えるという意味でも有用な手段となります。

ケース1 相続人に与える財産や相続分を指定したいとき

例:「長男に財産の2分の1を与えたい」や「妻に家を与えたい」といった希望がある。

ケース2 相続財産の分配に関して、相続人の間で争いが予想されるとき

例:子の仲が悪い。

ケース3 子供がいない場合で、妻に全財産を残したいとき

注意:夫婦に子がいない場合でも、相続人になるのは夫や妻だけではありません。親または祖父母が生存している場合は、親または祖父母も相続人となり、親及び祖父母が既に亡くなっている場合は、兄弟姉妹または甥姪も相続人となります。

ケース4 前妻との間に子がいるが、全く交流がない場合

注意:前妻との間の子も相続人となるので、妻と子が被相続人の財産の全部を相続するためには、前妻との間の子と話し合いをしなければなりません。ただし、前妻の子から遺留分請求の可能性はあります。(遺留分については、「3 遺留分とは?」を参照)

ケース5 相続人の一部がその意思を表明できない場合

例:相続人に認知症を患っている方、行方不明者がいる。

ケース6 相続人でない人に財産を残したい場合

例:相続権のない長男の妻、慈善団体、市などに財産を渡したい。

 遺留分とは?

 「遺留分」とは、亡くなった方(被相続人)が遺言書を残していた場合、その内容にかかわらず、相続人が一定の割合(下記を参照)の財産を取り戻す請求をすることができる権利です。ただし、兄弟姉妹には遺留分はありません。遺留分の請求をするかしないかは、相続人一人一人の自由であり、請求する場合は、自身の割合分を戻すよう請求することになります。例えば、「2 遺言書を作成しておくと良いケース」の「ケース4」で、「配偶者に2分の1、子に2分の1を相続させる」という遺言があった場合、前妻の子が遺留分請求をすると、前妻の子は財産の8分の1を取得することになります。

遺留分の割合

 相続人が配偶者と第1順位(子など)の場合
   配偶者 4分の1
   子 4分の1(人数で分割)

 相続人が配偶者と第2順位(親など)の場合
   配偶者 3分の1
   親 6分の1(人数で分割)

 相続人が配偶者のみの場合
   配偶者 2分の1

 相続人が子のみの場合
   子 2分の1(人数で分割)

 相続人が親のみの場合
   親 3分の1(人数で分割)

 遺言の種類

 遺言の種類は民法により定められていますが、主に利用されている「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」を紹介します。

自筆証書遺言と公正証書遺言(比較)

自筆証書遺言 公正証書遺言
作成方法 遺言者本人が全文・日付・氏名を自分で書き、捺印する。 証人2人以上の立会いの下、遺言者本人が公証人に口頭で内容を伝え、公証人が作成する。
保管方法 遺言者本人で自宅等に保管する。法務局に預ける方法もある。 原本は公証役場で厳重に保管される。
改ざん、紛失、隠匿、未発見のおそれ ある。ただし、法務局に預ける制度を利用すれば、防止できる。 ほとんどない。原本は公証役場で保管される。
効力が問題となる可能性 形式の不備や内容の不備(文意が不明等)により無効になってしまうことがある。 公証人が関与するため、ほとんどない。
検認の要否(※) 必要。ただし、法務局に預ける制度を利用すれば不要。 不要
その他 作成費用はかからない。ただし、法務局に預ける場合は手数料がかかる。 病気または高齢等のため体力が弱っている等公証役場に赴くことができない場合、公証人が出張して作成することが可能。

※「検認」とは、家庭裁判所において行う、遺言書の形式、様態などを調査確認して、保存を確実にする目的でなされる一種の検証・証拠保全手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

自筆証書遺言書を法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」とは?

 令和2年7月10日から、自筆証書遺言書を全国の法務局(本局・支局)で保管する制度、「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。
 自筆証書遺言書を自宅で保管する場合のリスクを軽減できます。

自筆証書遺言書保管制度のメリット

① 遺言書の紛失、改ざんのおそれがなくなる。

② 死亡後の家庭裁判所での検認が不要。

③ 遺言者の死亡後、相続人などに遺言書が保管されていることを法務局から通知される。

 ※詳しくは、法務省のサイト「自筆証書遺言書保管制度」をご覧ください。

 まとめ

 遺言は、ご自分が亡くなった後のご自分の財産の行方を決め、相続をめぐる争いなどを防止するための有用な手段になると思われます。また、「遺言」という言葉が死が近いような印象を受け、後ろ向きな印象を持たれるかもしれませんが、遺言を書くことは、ご自分が亡くなった後にご自分の希望をご家族などに託すことであり、むしろ前向きな行動だと思います。

 ただし、せっかく遺言を書いたにもかかわらず、形式等の不備によって遺言が無効になってしまうのはとても残念なことです。そうならないためにも、司法書士など専門家に相談することをお勧めします。

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